安寧なんか欲しがりません

まだまだ、まだまだですよ~

レズのご夫婦

私が生まれたのは京都の市街地で下町風情のただよう、新撰組で有名な壬生(みぶ)というところです。
路地の入り組んだ長屋で10歳まで暮らしました。

その長屋の一軒にレズのご夫婦が住んでいました。
ご主人の方は背広のようなきちんとした洋服を着て毎朝お勤めに出かけていました。
奥さんは日舞の先生でいつも和服姿です。

子どもの目には年齢が判断できませんでしたが2人とも若くはなかったと思います。
レズということばも意味も知らないけれど、大人たちの向ける視線で、特別な人たちという認識は子どもながらにありました。

小型の犬を飼っていて、お散歩から帰ると足をきれいに拭いて家に上げていました。
家の中で犬を飼うことは、50年前の京都の下町では珍しいことでした。
私の母は特に動物を不衛生だと思い込んでいましたので、奥さんが犬を抱っこして家に入っていくのを見かけると「着物が犬の毛で汚れるのに」とおせっかいな心配をしていました。そのおせっかいの口調にはそれだけではない嫌悪?気味悪さ?も含まれていたことを思い出します。

駄菓子屋さんに行く時にはその家の前を通ります。夏には長屋ではどこの家でも玄関の戸を開け放っているのにそのお家だけはいつも戸がきちんと閉じられていました。大人たちの感覚が伝染して子ども心にもその家に住む人たちはちょっと気味悪くて謎に満ちていました。
10歳で郊外へ引越してそれっきりです。
大人になって、あの人たちは同性愛カップルだったんだ、と認識しました。

昭和30年代の日本で、自分たちの生き方を貫いた人たちだったという認識はずっとずっと後になってからでした。



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